ノクティルックスM f1.2/50mm ASPH. ブラック サンプル画像と考察 その1
先日、Leica Noctilux-M 50mm f/1.2 ASPH. black anodizedを手に入れましたが、
どんな写りするのかとても気になりましたので、さっそく撮影してみました。
ノクティルックスなので、夜の撮影が本業かと思いましたので、
日が沈んでからの撮影としています。
撮影機材は、M10 Monochrom です。
基本的に開放で撮ったつもりですが・・・
なんとなく違うのがいくつかある気がします。
というのも、このレンズ、欠点ありまくりです。
- 1.Noctilux-M 50mm f/1.2 ASPH. black anodized は欠点だらけ?
- 2.Noctilux-M 50mm f/1.2 ASPH. black anodized の写りについての考察 その1
- 3.サンプル画像と考察 まとめ その1
1.Noctilux-M 50mm f/1.2 ASPH. black anodized は欠点だらけ?
欠点その1 : 絞りリング軽すぎ問題
他に持っているライカのレンズと比較してというお話になりますが、
手持ちの他のレンズに比べると、絞りのクリック感が小さい事と、
開放付近が特に変更に必要な力が小さいように感じます。
例えるならば・・・
・ズミルックス 35mmASPH.との比較
: クリック感が足りず、回転させるために必要な力が小さい。
・タンバール@現行(絞り無クリック)と比較
: タンバールは回転させる力に対してねっとりした重さがある。
比較するとかなり小さい力で回ってしまう。
・ズミルックス 50mm ASPH. と比較する
: クリック感の少なさは同じだが、回転に必要な力が絶妙。
比較すると軽すぎる。
そのため、手袋して撮影などしていたら知らないうちに
他のF値に回ってしまうので、困りました。
F1.2の開放で撮影していたつもりが、いつの間にか、
F1.4やF2.0になっていたりしたのです。
絞りに必要な力はどれが正解というわけではありませんが、
個人的にはもう少しクリック感か、ねっとりした感触が欲しいかなと思います。
欠点その2 : レンズとフードが視界に被る問題
ピントを合わせる中央部は全く問題ないのですが、
何せフードがデカい為、どうしても横撮影時の右下、
縦撮影時の右上が見えません。
絵の中に入れたくない物とか確認がしにくいので、
思ってもみない物が端に少しだけ写ったりしちゃいます。
デジタルではトリミングで対応できますが、フィルムだと結構難しいところかもしれませんね。
2.Noctilux-M 50mm f/1.2 ASPH. black anodized の写りについての考察 その1
さて、以下にサンプルとしてあげる画像は、撮って出しのJPEGを
縦横比そのままリサイズしたものになります。
カメラ側の補正は、設定していません。
何故かというと、先日アップデートで提供された、
ライカ・パースペクティブ・コントロール(LPC)のアップデートが
なんとなくバグ持ってないかなと心配になっていてアップデートしていませんでした。
その為、少し様子見をしてたのですが、まさか、このアップデート適用しないと
ノクティルックスの6bitコードからレンズ判定できないとは想定外でした。
一応、手動で旧のノクティルックスF1.2にあたる設定にはしましたが、
DNGファイルの画像も見る限りは、
おそらく補正入っていないのではないかなと思います。
初撮影画像です。
ライカストアでレンズを被写体として試写しました。
カットされたレンズ・・・このレンズの片割れは世界のどこかにある事でしょう。
そんなことは置いといて、はい、この画像でよくわかるのは、
直線が出ていない事ですよね。
展示場の上下と、ガラス面を見てみてください。
上下とも、少し膨らんで曲線を描いているように見えます。
また、左側のガラス扉の切れ目も直線ではなく丸く見えているので、
樽型の形になってしまっている感じですよね。
絵としては、真ん中に対して目が行くので、コレはこれで良しかなとは思いますが。
このサンプルでも直線が出ていないことがわかります。
左側の奥の窓枠とか、下側の窓枠が少し膨らんでいますよね。
また、奥のボケてる木も画面の真ん中に対して少しグルグル感のある
ボケになっている感じですし、ボケが荒い気がします。
このサンプルでは、真ん中の花に合わせてますが、奥のボケている部分は
画面真ん中に対してグルグルしている感じですよね。
荒々しいボケが味と表現できるのか、否か。
う~ん、オールドレンズな感じですよね~。
コレが良いと感じるか、オカシイ、汚いと思うかは、感じ方次第ですね。
上から、F1.2、F1.4、F5.6、F16(のはず)です。
因みに、撮影データ的にはこのようになります。
F1.2 1/750 ISO 160
F1.4 1/500 ISO 160
F5.6 1/90 ISO 250
F16 1/90 ISO 3200
流石に、F5.6やF16では像がきちんと結像しております。
ISO感度の上昇に伴う多少のノイズの追加以外は、
荒いという感じは感じられません。
オールドレンズの復刻といっても、絞れば良く写るという事ですね。
さて、それでは、中央部をそれぞれ等倍近くで比較してみます。
同じく上から、F1.2、F1.4、F5.6、F16(のはず)です。
F1.2では少しふんわり、F1.4でキリっとした感じが増え、F5.6では十分。
F16では、後ろまで結像していますね。
開放近辺の撮影では、被写界深度内に入ったものを
浮きたたせてくれる効果が非常に強いと思います。
F1.2のレンズという事でそのぐらいできて当たり前という事ではありますが、
そのぶん慎重に撮影しないと思わぬ部分からボケてるとなりかねないかなと思います。
どの鳳凰様のサンプル画像でも、他の人にこんなキレイなの飾られてたんだ!ってお見せしても通じますし。
鳳凰様の顔だけでいいのか、後ろの羽根まで入れたいのか、
それはあなたの選択次第という事ですね~。
ビリーさん・・・嗚呼、ビリーさん。
水平がきちんと出てないことはご容赦下さい(苦笑)
やはり、全体的に少しだけ樽型かな~と思える撮影結果になっていますね。
ノクティルックスの開放F値を生かして、低照度での撮影ができてます。
少しの光源があれば、何とかピント合わせが出来、
後はM10 Monochrom の高感度でなんとか写真撮ってしまおう作戦が
実施可能という例です。
このサンプル的には、ISO 12500 で、1/90のSSとなります。
こちらは絵の出方というよりは、一番の問題は、ピント合わせになります。
ピント精度という意味では、テストした範囲では距離計の精度は問題はありませんでした。
撮影したいと思ったピント面から完全に外しているなという点はなかったので、
デジタルライカとの相性で言いますと、特に問題ないのだと思います。
フィルムライカはまだ試せていないので何とも言えないです。
確認する為に開放で撮る際のフィルム感度と撮影時間が問題ですかね。
あまり暗くて厳しいと手ブレしますし、明るいと解放使えないし、どうしよう(笑)
3.サンプル画像と考察 まとめ その1
さて、テストとしてサクッと夜の心斎橋の撮影してみたところ、
機材の重さ的には軽い感じかつ、開放F値 1.2の為、
夜間の撮影もなんとかできるなと思いました。
どちらかというと、M10 Monochromの高感度の絵が使えるので、
かなり無理した撮影もできてしまうというのが本当のところかもしれません。
撮影機会を作るという意味では、ノクティルックスM f1.2/50mm ASPH.は
良い相棒となるようです。
オールドテイストなボケや、直線が出ていない事を味と
とらえられるのであれば、アリというところでしょうか。
・利点 1.開放F値 1.2による低照度での撮影機会の増加
2.薄い被写界深度を生かした独特の絵作りができる
3.普通の一眼レフに比べて小さい大口径レンズ
4.小さいレンズのため、被写体の注意を惹きにくい
5.大口径なのに軽い機材なので、取り回ししやすい
・欠点 1.絞りリングが軽すぎる
2.フードが大きいので視界の一部にかかる
3.フードが逆さ付けができないので、
他のライカレンズと比べると持ち出し機材として嵩張る
・利点にも欠点にもなる事
1.オールドテイストな写りで軽い樽柄の絵が出る
2.グルグルで少し荒いボケが出る
うーん、書いてて思いましたが、コレ、一般的に写真撮りたい人だと
ズミルックス 50mm F1.4 ASPH.でも事足りる事も多いのかなと思ってしまいました。
破綻の少ないキレイな(ボケの)絵が欲しい人は、ズミルックス一択ですかね。
次回、その2 に続く予定。。。